僕の夏休み26ー3

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三日目の朝はとても緩やかなものだった。

連泊する上に急ぐ用もない私は九時頃に起き、歯を磨きゲストハウスのテレビ朝日下に置いてあった旅行雑誌を手に取り今日も目的地を定める。

リビングには私しかおらず、昨晩はゲスト達で賑わっていたリビングは彼等が旅立ったことで物音ひとつせず、少し寂しい感じがした。

小樽の気候は、昼は涼しく夜は肌寒いが新たに衣服を揃えるほどではない。

よって当初想定していた衣服の調達は省き、代わりに予想外に暇だった船内で読み終わった本を売り、代わりにその続編「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」を買いにいくことにしよう。

ホストに聞いてみたところ近場にブックオフがあること、小樽水族館口とその近くの高台からの眺め、ニッカの工場を勧められたのでそちらも行くこととしよう。

何はともあれ最初はブックオフだと出発したのだが案の定、道を間違えてしまった。

なれない土地あるあるである。

そして私はこれが中々に好きである。

迷子になるということは観る予定の無かったものを観る機会に恵まれたと感じるのだ。

故にこの時も戻らずに、先々進み続けることにした。

それほど進む前に水族館への立て札が出現する。

順番は代わるが先に此方に行くことにしよう。

水族館は家族連れと団体お子様客でごった返していた。

展示されていたのはよくある水族館と同じものであったのだが、事前に調べた限りこの施設の目玉はペンギンショーらしい。

なんでも「やる気の無いペンギンショー」とのことで、とても興味がひかれていたのだ。

時間になり遠巻きに眺めることとした。流石にチビッ子を差し置いて前に出るのは恥ずかしいというのもあったが、それ以上に人が集まりすぎて前にいけないという方が理由としては強かった。

なおショーはほんとうに何も起こらなかった。

飼育員のお姉さんが「飛び込みしてくれる子は此方に集合ー!!」と明るく声をかけても1羽も寄ってこず。

それどころか殆どが影でじっとしている。

お姉さん曰く今は毛の生え変わる時期で、これは大変体力を使うんだとか。

その為ペンギン達は出来るだけ動かずに体力を温存しているそうな。

なお、既に生え変わっているのにじっとしている子達は本当にやる気がないだけとのこと。

ペンギンよりお姉さんのトークが味噌なショーであった。

その後紹介されていた高台に登り写真を取る。

辺りが一望でき、中々のスポットであった。

撮影を終え余市が思っていたより近いことに気がつき、ニッカの工場へも行くこととした。

そしてウッカリ通りすぎ宇宙記念館なる道の駅に到着。

入館料500円を支払い中を覗いてみた。

なんでも宇宙飛行士の毛利さんは余市出身とのことで、その関係で作られたらしい。

中はよくある資料館であったが、定期的にプラネタリウムを上映しているとのことでそちらを観ることにした。

このプラネタリウムは少し変わっており、入った瞬間は畳んだ傘の内側のような空間であったものが、上映前には空気で広がりドーム状になるのだ。

このプラネタリウムは携帯ができ、トラックに載せて小学校で訪問上映する用のものだとか。

確かに小ぢんまりとしてはいるが、内容はドーム型の建物で行うそれと変わらず私は満足した。

とここで本来の目的地であるニッカの工場のことを思い出す。

売店のおばちゃんに道を聞いてさくっと移動。

敷地内にはいってまずすることはレストランでご飯を戴くことだった。

よく考えれば昨晩から何も食べていなかったので、14時ともなると空腹がピークだったのだ。

ニッカとは酒造会社で有名な酒としては竹鶴やジャックダニエルなどがありますが、資料館を見たところ日本で初めてウィスキーを作った会社でも有るようだ。

そしてなんと観覧無料。

無料なのに物凄く分かりやすく濃厚な資料となっており、北海道に訪れた際は是非とも寄っていただきたい観光地であると感じた。

惜しむらくは有料試飲コーナーで飲むことが出来なかったことであろうか。

資料館の真ん中に古く雰囲気のあるバーを模した区画があり、そこでバーテンダーさんにウィスキーを注いで頂けるとか。

次来るときはバスか何かで来ようと誓いつつ、売店で試飲用の小さな瓶入りウィスキーを買ってゲストハウスに戻ることにした。

が途中で寄り道。

一人旅ならではのグダグダ同地である。

鶴亀温泉というものを見つけたので入ってみた。

私は温泉に目がないのだ。

泉質は若干のヌメリと錆色が特徴だろうか。

この錆色は中々の濃さで、腰かけても膝が見えない程である。

温度は42〜38℃で2℃毎に別れており、過ぎない温度の湯に浸かれるようだ。

少し暖まったら改めて帰宅、晩御飯はホスト達とセイコマで買ってきた物を食べた。

初めてのセイコマ飯であるが、とにかく安い。

コンビニなのに下手なスーパーより安いからか、コンビニチェーンの中で一番評価が高いのも頷ける。

普段ローソンっ子の私だが、北海道に色合いだだけはセイコマっ子になることにした。

その後他のゲスト達と軽く談笑していたら消灯時間に。

翌日の予定を考えながら日記を書いていたら、いつの間にか寝落ちしていた。